冬の平泉まち歩きコース
12~3月にかけての平泉は、平均最低気温がマイナス3度前後になるほどとても寒くなります。
雪が積もることが多く、1年の中で一番訪れる人が少なくなるのもこの時期です。
残念ながら平泉駅前のレンタサイクルは冬季休業で、平泉町巡回バス『るんるん』も4月から11月末までの運行となっています。
(岩手県交通路線バス:平泉町内を通る一関前沢線などは毎日運行しています。)
冬になると、移動手段が少なくなってしまう平泉。しかし、平泉に行くのをやめようと思ってしまうのはもったいない!
冬の時期にしか見ることができない平泉の雪景色を楽しんだり、
訪れる人が少ないために、奥州藤原氏三代が築いた浄土の地を眺めながら、静かに思いを馳せることができます。
今回は冬の平泉のイメージが湧かない!冬の時期に平泉を観光しようとしてる!という方に向けて、冬の平泉を楽しむ街歩きコースをご紹介します。
【冬の平泉まち歩きコース】
11:00頃 街歩きのスタートは平泉駅から。
冬の東北は寒いため、しっかりと防寒対策をして街歩きに備えましょう!
雪が積もっていることもあるため、雪に対応した靴を履くことをおすすめします。
平泉までの電車の長旅が終わり、まずは駅近くで何かを軽く食べたい!という方へ。
駅から徒歩2分、中尊寺通りにある菓子工房吉野屋でおやつを探してみましょう。
創業1914年の菓子工房吉野屋。
おすすめは創業以来100年以上、平泉の名物として愛され続けるくるみゆべし「辨慶力餅(弁慶力餅)」です。
もち米はこの地域のもち米を使用しています。
香ばしいくるみ入りで、ほのかな甘みともちもちの食感がくせになる、平泉のお土産の定番です。
一つ一つの個装で売っているため食べたい個数のみ買うことができます。(5個以上は箱入りで販売されています。)
力餅を食べて電車の長旅疲れが回復したら、菓子工房吉野屋から徒歩10分に位置する平泉世界遺産ガイダンスセンターへ。
2021年11月より開館した岩手県立ガイダンスセンターは「平泉の文化遺産」の遺跡を周遊する際の出発点となる施設です。
館内では、遺跡の紹介や平泉の舘の暮らしを再現したデジタルパネルなどの展示、アジアの仏教と平泉の関係や期間限定の企画展示など、じっくりと見ているとあっという間に1時間程経っていることでしょう。
たっぷりと時間を取れないという方は、ぜひ大スクリーンのシアターをご覧ください。シアターをご覧いただくことで、平泉の歴史やみどころをおさえることができます。(毎時00分、20分、40分に上映。英語字幕があります。)
平泉世界遺産ガイダンスセンターで、平泉周遊のポイントを得たところで、さっそく遺跡を探検しに行きましょう。
中尊寺通りに戻り、中尊寺方面へ歩くと無量光院跡が見えてきます。
冬の無量光院跡は雪に覆われて、真っ白な銀世界。
かつて、この地には京都の平等院鳳凰堂を模した建造物がありました。この幽玄な景色を眺めながら静かに物思いにふけることができます。
無量光院跡から徒歩10分で中尊寺への入口に到着します。
13:00頃 中尊寺の駐車場前にある衣関屋へ。
ここでは、盛り出し式平泉わんこそばや前沢牛ステーキ丼、一関・平泉名物のおもちなど、様々なメニューを食べることができます。
おもちは様々な味が用意されており、おもちメニューを頼むと3個のおもちがついてきます。3個それぞれにお好きな味を選ぶことができます。(じゅうね、ずんだ、きなこ、など)
1階はお土産屋さんになっており、お食事は2階で食べることができます。
お腹が満たされたところで、中尊寺に参拝へ。
月見坂と呼ばれる参道は急な坂であるため、雪が積もっていると大変よく滑ります。雪が解けている場合は、土がぬかるんでとても歩きづらくなっているため足元にご注意ください。
参道を登った先で見ることができる、金色堂の覆い堂と雪景色のコラボレーションはとても幻想的です。
中尊寺を参拝したあとは、毛越寺へ。
徒歩20分ほどかかるため、天候の悪い日などはタクシーのご利用をおすすめします。
毛越寺の手前で見えてくるのが、観自在王院跡です。毛越寺に隣接している庭園です。
観自在王院は毛越寺を建造した2代目藤原基衡の夫人が造営しました。
こちらも冬になると一面雪に覆われ、情緒的な世界が広がっています。
15:30頃 毛越寺浄土庭園へ。(毛越寺の冬季営業は16時半までです。)
冬になると、浄土庭園の池が一面凍ります。白銀の浄土庭園は冬にしか見られない特別な光景です。
毛越寺はかつて多くの伽藍(僧侶が集まり修行する場所)が造営され、中尊寺をしのぐほどの規模と華やかさがあったと言われています。しかし、現存するものはなく、当時の様子を見ることはできません。
雪に覆われた静かな庭園を歩き、絢爛たる当時の毛越寺を想像しながら思いを巡らせてみてください。
毛越寺から平泉駅までは徒歩8分。平泉駅に着いたら街歩きコースは終了です。
冬の平泉についていかがだったでしょうか。
12月~3月は訪れる人が少なく、交通手段も減ってしまいますが、冬だからこそ情緒を感じられる楽しみ方があります。
平安末期の100年に及ぶ激動の歴史や、戦乱の世を乗り越え導かれた、敵も味方も小さな命もすべての者に平和をという願いに、静かに思いを馳せながら、冬の平泉を観てみてください。